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序章2 ‐違和感‐

彼が生まれた家はどこにでもある家庭だった。
資産家ほどのお金持ちでもなく、そして貧乏でもない


良く悪くも普通の家だった。

魂成に問題があろうがなかろうが時間は経過する
時の流れは誰にもとめる事はできないからだ。

彼は両親、兄弟に囲まれてすくすく成長した。
だれも彼の異様さには気づかない。
彼自身すら気づかない。
表に出ずとも、彼が内包した世界は
人々が指す『普通』と大きくかけ離れていたとしても。

この時点では対外的には普通の人間だったからである。


幼少期から成長期へ成長し、そして彼は気づいた。
周りの誰もが見えず、自分だけに見えるものに。



『はぁ~ねむ・・・』
気だるそうに首を左右にストレッチしながらヨタヨタ歩く
彼は雨宮武流(あまみや たける)
私立高校に通う3年生。

試験中ということもあり、前日の徹夜がたたって歩きながらも、半覚醒状態である。

全く、勉強なんか柄じゃねぇっつーの。と心の中でゴチる。


『おっす!武流(たける)、今日もジャンジャンバリバリでやってるか???』
どこぞのパチンコ屋のアナウンスを彷彿させるセリフで
後ろから声をかけてきたこいつは

堂島健二(どうじま けんじ)

短髪で元気で屈託のない笑顔が印象的なやつである。
初対面のときから馴れ馴れしいというかなんと言うか
誰にでも同じ態度、同じテンションで話しかけてくる。

こいつが落ち込んでいる姿はあまり見たことがない。

ちなみに部活仲間であり、クラスメイトでもある事は
誠に遺憾ながら公然の事実である。


テスト最終日、心身ともに疲弊しきってる今 更に疲労を呼ぶテンションで話しかけてくる。
正直今の体調ではこのテンションについていけない。

『おーう』

と、小さく片手を挙げて答える。

視線は合わせないまま、先にある学園を見ながら歩き続ける。


『武流ひどっ!それひどっ!つか冷た!!

そんなに冷たくしないでよ!!

まっまさかあの日のことは遊びだったのね!!!しくしく・・・・』



突如しゃがみ込み
大声でわけのわからないことを叫ぶ。
ハリウッド女優よろしく言わんばかりに大泣きだ。
なぜか、ハンカチは口にくわえたままで。
キーーー!!と言う声が聞こえてきそうだ。


当然回りは何事かとこちらに注目する。
周りといっても今の時間帯じゃ同じ学園の生徒が主であるが。


しかし、一瞬こちらに視界が奪われても、何事もなかったかのように
自分のしていた作業に戻る。


3年間もこんなやりとり公然でしていたら、それは異常な事ではなく
正常な事だと脳みそは処理するらしい。

それは自分にとってもそうであるし話した事もない
周りの連中もそうである事を痛感させられる。

つまり、誰も気にしなくなるってことだ。


『これが俺の日常なのか・・・』
ため息をつきながら歩を進める。


『私にはあなたしかいないの!あなただってわたしのこと・・・・』

まだやってる。
無視。

いつもと同じ処理を下し。

さらに学園へと急ぐ。

『朝は、弱いんだよなぁ・・ふぁ~』
またまた大あくび。





『~~~~~~~~~~』

後ろで声にならない声が聞こえる。


再度無視。
朝っぱらからそんなことに付き合ってやれるほどお人よしじゃない。


更に前進む。

『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~』

後ろで声にならない声が聞こえる。

距離にして30m進んだところで後ろを振り返る。



まだくだらない演技をしている健二がいた。

だんだんと健二の周りにひとだかりが出来る。
俺たちのことをまったく知らない(正確にはこの日常茶飯事を)
近所の主婦や、通学途中の小学生、はたまた犬の散歩のおじいちゃんまで集まる始末だ。



キ○ガイにみえているのだろうか。
いや、そりゃ見えるよな。

・・・だんだんと哀れに見えてきた。
やめるタイミングを逸したのか。

まぁなんにせよ放っておくのもかわいそうなので声をかけてやる。

『おーい、早くしないと遅刻するぞー。
留年したいのならそこでアカデミー賞でも狙っていろー。
もしかすっと、どっかの監督が拾ってくれるかもしれないぞー。』

と、あまり大声は出さずに呼んでみる。

これが聞こえなかったのなら、このまま一人で登校すればいい。
そんな事を考えながら本日6回目の大あくびをした。


・・・・・


あー聞こえないほうがいい時もあるんだなぁ・・・
行動を起こした後に、自分の行いを悔いてみる。


しかし、もう遅いようだ。

後ろから黒山の人だかりをおしのけて
感動の再開のように駆け寄ってくる健二の姿が見える。

ドラマのワンシーンを表現したいのか
走っているのだがゆっくりと動いている。

うん、実に痛いやつだ。
黒山の視線が痛い・・・やはり声をかけなければよかったのかも。









もうすぐ始業開始のベルが鳴る。

今日を越えれば明日からは長期休暇に入る。
悪夢の時間よ、早く過ぎ去れ。
と願いながらテスト最終日に臨んだ。

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| 小説はじめました | 23:29 | comments(2) | trackbacks(0) | TOP↑

COMMENT

続き
楽しみにしてます(*^_^*)

| 真珠 | 2006/03/02 02:47 | URL | ≫ EDIT

真珠さんへ
続き・・・がんばる(,,゚Д゚) ガンバル!

| Joker | 2006/03/03 23:36 | URL | ≫ EDIT















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